「勉強にご褒美ってどうなの?」
「ご褒美って何がいいのかなぁ」
こういった疑問を解消するヒントになるように書いてみました。
この記事は教育経済学者の中室牧子さん著『学力の経済学』ディスカバー携書を参考にしています。もう少し詳しく知りたい!という方は読んでみてくださいね。
勉強にご褒美を出すってどうなの?
そもそも勉強をさせるためにご褒美を出すのってどうなんだろう。ご褒美がほしいがためだけの勉強になってしまわないだろうか。ここらへんが心配になる方も多いと思います。
しかし、大丈夫です。
結論、ご褒美で勉強させても、させなくても、「一生懸命勉強をするのが楽しい」気持ちを無くすことにはなりません。実験で明らかになっています。
どんなタイミングでご褒美を出すべきか?
ご褒美を出すといっても、そのタイミングはさまざま考えられますよね。いつ出すべきか考えさせられるところです。
そのタイミングで参考になるのは次の内容です。
実は、人間にはどうも目先の利益が大きく見えてしまう性質があり、それゆえに、遠い将来のことなら冷静に考えて賢い選択ができても、近い将来のことだと、たとえ小さくともすぐに得られる満足を大切にしていまうのです。
中室、P40
(むずいですが、このことを経済学の用語では「時間割引率が高い」といいます^^)
子供たちが、勉強することが将来のためになると分かっていてもそれを先送りにして、すぐそこにある楽しい遊びの方を選んじゃう。それはまさにこの性質があるからですよね。
この性質は何も子供だけではなく、大人もそうですよね。ダイエットしたいけど美味しいものを食べてしまう。禁煙したいけどつい一服していまう。明日しんどくなるけど、ちょっと一杯行ってしまうなどなど。
この性質を逆手にとって、ご褒美をだします。
子供が今勉強をするように仕向けるためには、勉強すればすぐに満足が得られるタイミングでご褒美を出す必要があることがわかります。
どんな行いにご褒美を与えるか?
『学力の経済学』において、米国で行われたあるご褒美実験が参考にされます。
子供の行いをインプットとアウトプットに分けます。
インプットは、例えば、本を読む。宿題を終える。学校にちゃんと出席する。制服を着る。
アウトプットは、例えば、学力テスト、通知表の成績。
このインプット系に褒美を与える方とアウトプット系に褒美を与える方で比べてみました。
どういうことか。インプット系の例は本を一冊読めば褒美を与える。アウトプット系の例は学力テストでいい点数を取れば褒美を与えるです。
この実験で子供たちの学力を上げる効果があったのはどちらだと思いますか?
実は、インプット系にご褒美を与えたケースなんですよね。
これは意外でした。一見、アウトプット系の方が学力が上がっていきそうに思います。
なぜ、インプット系にご褒美を与えた方がよかったかというと、自分たちのやるべきことが明確になっているからです。逆にアウトプット系は、それが明確ではないからです。
どうすれば成績を上げられるか分からないから。ご褒美が欲しくても、具体的な行動に落とし込めないということなんですね。
ただ、アウトプット系に褒美を与えても伸びるようにする方法も付け加えてありました。どうやったら成績が上がるか導いてくれる人、勉強方法を説いてくれる人がいたら、成果が上がるということです。
子供たちの自身が何をすれば良いか明確になっていれば、成果が上がっていくわけですね。
ご褒美は何がいいの?
ご褒美を何にするかのかはさまざま候補があるとは思いますが、ここでは『学力の経済学』で取り上げられた、お金はどうなのかというところで書いてみました。
お金がご褒美の場合は子供の新たなる発見にもつながることが分かりました。
- 小学生→お金以外
- 中高生→お金でも良い
⚫︎小学生
本の中で、『ヤバい経済学』の著者レヴィット教授が行った例があります。ご褒美でお金の代わりにトロフィーが用いられました。400円ほどのトロフィーですが、小学生には400円の現金よりも同額のトロフィーの方が効果が大きかったようです。
⚫︎中学・高校生
全段落のインプットアウトプットの実験を行ったフライヤー教授によると、ご褒美にお金を得た子供たちの中には、お金を無駄遣いせずに、貯蓄をして、より堅実なお金の使い方をしていたことが明らかにされています。
この実験ではご褒美と一緒に、貯蓄用の銀行口座を作ったり、家計簿をつけるなどの金融教育が同時に行われていたことがその一因になっているようですね。
まとめ
勉強にご褒美を出すことはOKです!
いつ出すのか。遠い将来より、満足度を得やすい近い将来にだしましょう。
何に対してだすのか。本を一読するなど子供たちが何をすれば良いか明確であるものにだすようにしましょう。
中高生に対しては、お金をご褒美としても大丈夫です。
以上。
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